馬の特徴:毛色の種類
馬の毛色の種類について
馬の毛色は馬の個体識別要素の一つで、体毛や肌の色、模様のことを指します。
馬の毛色は複雑に見えますが、いずれもエウメラニン(真正メラニン)とフェオメラニンの量と微細構造、メラノサイト自体の数や分布によって表現される肌や毛の色にすぎません。
人は太古からこれらの中にいくつかのパターンを見出し、鹿毛、栗毛などと呼んできました。馬の個体識別に非常に有用であり、多くの場合血統登録時に記載が義務付けられています。
馬の主な毛色に、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛、芦毛、白毛、佐目毛、河原毛、月毛(パロミノ)、粕毛、薄墨毛、駁毛の14種があります。
馬の主な毛色
- 鹿毛(かげ)
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被毛は明るい赤褐色から暗い赤褐色までありますが、長毛と四肢の下部は黒色です。栗毛との違いは、長毛と四肢の下部の色で、栗毛は黒くなりません。最も、一般的な毛色です。
- 黒鹿毛(くろかげ)
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被毛の色合いが黒味がかった赤褐色で、黒味の程度により相当黒く見えるものまでありますが、眼の周辺、腋、ひばら、下腹及び内股は褐色で、長毛と四肢の下部の色は被毛の色の濃淡に関わらず黒色です。
- 青鹿毛(あおかげ)
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黒鹿毛より黒く全身のほとんどが黒色で、鼻先や目元、臀部など部分的にわずかに褐色があります。
- 青毛(あおげ)
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被毛、長毛ともに黒色です。軽種馬には比較的少ない毛色です。この毛色は、季節により毛の先が褐色となり、黒鹿毛や青鹿毛のように見えることがあるため、眼の周辺や鼻の周辺をよく観察して判断します。
- 栗毛(くりげ)
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被毛は黄褐色で、長毛(たてがみや尾)は被毛より濃いものから淡く白色に近いものまであります。
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栗毛馬のうち、長毛の白いものは、秋のススキの穂を思わせることから、「尾花栗毛(おばなくりげ)」と呼ばれています。登録上はとくに区別せず、単に「栗毛」と表示している。
- 栃栗毛(とちくりげ)
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被毛は黒味がかった黄褐色から黒味の非常に濃いものまでありますが、黒色にはなりません。長毛は被毛より濃いものから、白色に近いものまであります。
- 芦毛(あしげ)
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原毛色は栗毛(栃栗毛を含む)、鹿毛(黒鹿毛・青鹿毛を含む)又は青毛等ですが、被毛全体に白色毛が混在し、年をとるにつれて白色の度合いが強くなります。その進度は個体によりまちまちで、その色合いも純白になるものからほとんど原毛色を残したものまであります。生時は原毛色にわずかに白色毛を混生する程度(特に眼の周囲に多い)で、なかには直ちに芦毛と判断しにくい場合もあります。
- 白毛(しろげ)
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被毛は全体がほとんど白色であり、わずかに有色の斑紋及び長毛を有するものもあります。皮膚はピンクで、一部に色素を有するものや、眼が青色のものもあります。芦毛との著しい違いは、生時にすでに全体が白色を呈していることです。平成3年に新しく追加された毛色です。
- 佐目毛(さめげ)
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全身象牙色で、皮膚、粘膜は淡紅白色、眼の虹彩の色は藍色です。頭数は少ないですが、北海道和種に見られる毛色です。昔はこの毛色は吉相と考えられ、神社などの神馬として奉納されていました。
- 河原毛(かわらげ)
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被毛は淡い黄褐色からつやのない亜麻色まであります。長毛と四肢の下部は黒色で、鰻線(背すじに現われる色の濃い線)が現われるものもあり、北海道和種にこの毛色が見られます。
- 月毛(つきげ)
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被毛はクリーム色から淡い黄白色のものまであります。長毛は、被毛と同色から白色に近いものまであり、国内では北海道和種によく見られる毛色です。米国から乗馬として輸入されているパロミノはこの毛色に属します。「月毛(Isabel)」の由来はスペイン女王イサベル1世の名前からきているそうです。
- 粕毛(かすげ)
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原毛色は栗毛・鹿毛・青毛等であるが、主に頚・躯幹・四肢の上部に原毛色と白毛が混在しています。芦毛との違いは、白毛の生じる部位が限定されること、年齢に関係なく、当歳時から色合いが変わらないことです。原毛色により、「栗粕毛」「鹿粕毛」「青粕毛」などと言います。日本では、ブルトン種、ベルジャン種、北海道和種などに見られる毛色です。
- 薄墨毛(うすずみげ)
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河原毛よりも少し薄暗い毛色です。蒙古野馬(モウコノウマ)の毛色として知られています。
- 駁毛(ぶちげ)
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体に大きな白斑のあるもので、原毛色により、「栗駁毛」「鹿駁毛」「青駁毛」と言います。ただし、白斑部分が原毛色部分より多い場合は、「駁栗毛」「駁鹿毛」「駁青毛」と言います。