馬を知ろう!
馬という生き物を知る
馬という言葉を聴いて皆さんはどのようなことを思い浮かべますか?
髭を颯爽と風になびかせて走っている馬、大きな目でじっと見つめてくる馬、競馬場を疾走する馬など、人によってそれぞれの馬の姿があることでしょう。
また、「馬術競技」を思い浮かべる人もいれば、「スポーツ新聞に載っている競馬」を想像する人、小さい時に連れて行ってもらった「牧場で乗った馬」の経験を思い出す人もいると思います。
戦後、急速に身近に飼われる馬の数が少なくなった日本では、人によって馬に対するイメージや意識が実にさまざまです。
馬という生き物と関わり合いを持っていくためには、馬のことをよく知ることがとても大切です。
馬のことをよく知れば知るほど、馬の気持ちを理解しやすくなり、趣味の乗馬も、競馬の予想も、家族と訪れた牧場でも、馬とのより良い関係を作ることが出来るようになるはずです。
馬と人間
馬が、人間と密接な関わりを持って生きるようになった、つまり人に飼われるようになったのは約6000年前といわれています。
それ以来、馬たちは常に人間と生活をともにし、人間の生活に深く関わりあい、歴史にも大きく関与してきました。犬や猫の品種などと同様に、人間の必要とする様々な目的に応じて馬は改良され、新たな品種が作られてきたのです。
世界には多くの種類の馬がいます。私たちが耳にしたことのあるアラブ、サラブレッド、クオーターホース、北海道和種馬、木曽馬などの名前は品種名です。犬でいうダックスフントや秋田犬などと同じです。
その品種の数は、少なくとも200種類を超えるともいわれています。
これらのさまざまな品種の馬は全て生物分類学上「家畜馬」と呼ばれ、同じ種に分類されます。
世界中には、ヨーロッパおよびアジア大陸で改良されたクリーブランド・ベイ、シェトランドポニー、クライスデール、ホルスタイン、ハノーバー、トラケナー、ブルトン、ベルジャン、アンダルシアン、アラブ、また、アメリカ大陸で作られたクォーターホース、スタンダードブレッドなど実に多くの品種の馬がいます。
日本にも昔から飼養されてきた在来の馬たちがいます。
明治時代以降の「強い軍馬を作る」ための政策や、第2次世界大戦後の急速な社会の変化で絶滅してしまった馬も多いのですが、現在も残っている在来馬は北海道和種馬(北海道)、木曽馬(長野県)、野間馬(愛媛県)、対州恩長崎県)、御崎馬(宮崎県)、トカラ馬(鹿児島県)、宮古馬(沖縄県)、与那国馬(沖縄県)の8馬種で約2500頭が日本在来馬として飼養されています。
これら在来の馬は、昔から日本人のくらしと密接に関わりあいながら生きてきました。
現在の日本では、馬という動物は珍しくなってしまいましたが、ほんの一昔前まで日本人にとって馬は、犬や猫のように身近な動物であったのです。
馬の性質
馬は、もともと草食動物であったことから、いつも他の肉食動物に襲われる危険から身を守る生活をしてきました。
そのため、馬の感覚はとても発達していて、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感を最大限に利用して生きています。したがって、馬はとても臆病な性格を持ち、周りの様子を常に気にしているので、騒がしいところや大きな音にとても驚くことがあります。また、馬は真後ろをのぞいて350度の視野があると言われています。
私たちが馬と上手にそして事故がないように付き合うためには、馬を驚かせる事がないように細心の注意をして、馬にとって居心地の場所と環境を用意してあげる事が大切です。
馬は、表情の豊かな動物であると言われることがあります。
これは、外部の情報を得るための聴覚や視覚の器官である耳や目が実に様々な馬の気持ちを表わしているからです。耳の様子や目の動き、体の動きは、馬の精神の状態を的確に表現しているものです。
馬の気持ちを理解するには、このわずかな変化に気付いてあげることが大切です。
馬は、実際に付き合えば付き合うほど色々なことを教えてくれます。
そして、馬のことを知れば知るほど、馬との付き合いが上手になれるのです。